第30回学術総会終了の御報告と御礼
2021年5月22日および23日に福島県福島市で「禁煙で日本を元気に!」をテーマとして第30回日本禁煙推進医師歯科医師連盟学術総会が開催されました。今回は、学術総会初のハイブリッド形式での開催となりました。期間中、福島県ではCOVID-19に対し、非常事態宣言が発令されておりましたが、多くの方に来場いただき、オンラインでも御参加いただきました。また、学術総会終了後にオンデマンド配信もされ、多数の方に視聴していただきました。
今回の主なテーマは「受動喫煙の完全な防止」です。改正健康増進法全面施行から1年になりますが、施行後の変化につき検討し、効果を検証するとともに、受動喫煙が完全に無くなるにはどのような方策が望ましいかという問いに対して2題の講演をいただき、また、4名の方にシンポジウムにて講演・ディスカッションをしていただきました。
また、今年は東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故から10年に当たります。福島では、未だ、原子力事故後の風評被害に苦しんでおります。一方で、福島県は男女ともに喫煙率が高く、また、心筋梗塞により死亡が男女ともに全国1位という、健康状態が良いとはいえない県です。福島県の都道府県別平均寿命(男女)(厚生労働省・平成27年都道府県別生命表の概況)・健康寿命(男性)(第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料)は全国の平均を下回っております。福島県の平均寿命・健康寿命が延びることは、福島の作物が安全であることの証明の一助になることと思います。平均寿命・寿命健康寿命が延びることにより、風評被害を払拭することができると信じます。そして、平均寿命・健康寿命を延ばすためには喫煙率を下げることが必要となります。福島県での開催ということで、福島県の農業およびタバコ生産の現状、福島県の農業が直面している問題につき、関係する講師の方をお招きし、お話しいただきました。その他、タバコと経済につき、専門家にわかりやすい講演をしていただきました。
今回のテーマ以外に、現在、問題となっているCOVID-19と喫煙、また、タバコをめぐる最近のトピックとして、加熱式タバコを含むタバコの口腔への影響、喫煙とアンチエイジング、一般演題4題の御講演をいただきました。この学術総会を契機に、福島県のさらなる喫煙率低下・平均寿命および健康寿命延伸に向け、努力してまいりたいと考えております。
今回の学術総会で、改正健康増進法の全面施行後も、規制が曖昧な住宅での喫煙など、課題が多く残りました。これらの問題を一つひとつ解決することに加え、積極的に喫煙率を下げていく必要性を感じました。
第31回学術総会は2022年2月26~27日に静岡市で開催が予定されており、次回会長の加治正行先生および加藤一晴先生より、その御紹介をいただきました。
今回の学術総会開催に当たり、御講演・御協力をいただきました皆様に心より御礼を申し上げますとともに、ますますの御活躍をお祈りいたします。
令和3年6月吉日
第30回日本禁煙推進医師歯科医師連盟学術総会大会長
福島県立医科大学 医学部 先端地域生活習慣病治療学講座
風間 咲美